会長挨拶
本学会は2000年に設立され、今夏に20周年を迎えます。
現代の日本は、東日本大震災復興、原発事故処理、都市インフラの老朽化など環境に関わる課題が山積しています。他方、それらの解決の行方に加え、東京オリンピック・パラリンピック開催に代表される、未来に向けた環境に対する様々な取り組みに対し世界は注目しています。
芸術の領域では、漫画、アニメに代表される日本のサブカルチャーや、「クールジャパン」と評されるものづくりの精神などが国際的に高く評価されています。また、アートプロジェクトの隆盛は、社会におけるアートの受容の有り様の大きな変化を示しています。一方で、この間の長きにわたる不況や少子化を背景としたものか、芸術に注がれる力が大きく後退しているように感じられます。それは美術・芸術大学の志願者の急速な減少をみても明らかといえます。
このような社会状況の中で、本学会が果たし得る役割は如何なるものかということを今一度確認する必要があると考えます。環境芸術学の新たな課題を設定・検討し、社会の要請にこたえ、次代につながる解答を見出していくことが本学会の使命といえるでしょう。それには会員皆様の活発な研究活動と、それを交流する場、さらにはそれらを集約し社会に広く発信していくことが学会の大きな役割であると考えます。
第20回記念大会テーマを「環境と芸術 1964 tokyo 2020」として、2回のオリンピックの間、約半世紀の環境芸術の変遷を振り返り、同時に未来のビジョンを描きたいと考えています。環境芸術学会は「学会」であること以上に「芸術運動体」であることを目指します。会員皆様の積極的な参加とご支援をお願いいたします。
環境芸術学会会長 高須賀 昌志