神戸ビエンナーレ2015 東遊園地会場

神戸ビエンナーレ2015 東遊園地会場 2015

居心地の良い棲まい
愛おしい詠(なが)め
数寄(スキ)なこころもち

万物の根archē と芸術arsの源である理性logosを伴う制作術technē が、“建築 architecture”の語義であることを知って以来、建築的世界、すなわち原理に基づく制作poíēsis の世界に惹きつけられ、存在論的な視点からの空間探求をひたすら試行。

主たるテーマは、京都での日本的なる制作手法の研究であり、伝統的な空間や継承される祭礼や愛される風景に潜む空間性をオマージュする制作である。

現在、嵯峨美術大学名誉教授、環境芸術学会副会長、意匠学会役員、OOMORIS DESIGN代表、ワールドマスターズゲームズ2027関西 レガシー創出委員、京都シーメックス(KYOTO Cross Media Experience)実行委員、元・神戸ビエンナーレ アーティスティックディレクター

1957年生まれ、1988年京都大学大学院 工学研究科博士後期課程(建築設計学)を経て、師・川崎清が主宰する(株)環境・建築研究所にて国際花と緑の博覧会会場計画+EXPO’90メインホール、りんくうタウンプロジェクト、福井県立大学キャンパス計画+情報センターなど数多くの公共施設設計を担当した後、嵯峨美術大学にて芸術表現の理論と実技を幅広く研究・指導する傍ら、社寺や庭園などの古空間の仕組みを解明しながら震災復興事業としての国際芸術祭「神戸ビエンナーレ」を起案・運営するなど、領域横断的な制作活動を行なう。とりわけ、観月や花見などの美意識を地勢と時節との“しつらい”からCG分析した空間研究の反響は大きく、さまざまな国内外メディアに取り上げられている。

主な受賞は、環境芸術学会学会賞、意匠学会作品賞、グッドデザイン賞、日本建築学会創立100周年記念論文最優秀賞など。近年では京大建築会100周年記念コンペでの佳作受賞。

主な著書に、『京都 しつらいの空間美』鹿島出版会、『京都の空間遺産』淡交社、『差異の美学』出版ワークス、『アートプロジェクト・エッジ』東方出版、『神戸ビエンナーレ2015』美術出版社、『仕組まれた意匠』鹿島出版会など。

主な作品に、嵯峨美術大学有響館、元町カルチャービル、茶室翠菴、嵯峨八景図屏風、琳派羽裏、木製照明具、小倉百人一首文芸苑、サインオブジェなど。最近作は、月面庭園計画と月読神社に奉納した「AR(拡張現実)干支大絵馬」。

テレビ出演に、NHKBS:ザ・プレミアム「絶景にっぽん月の夜」、KBS:京都 国宝浪漫「銀閣寺〜足利義政 美意識の結晶〜」、サンテレビ:2時コレ!しっとぉ!?「神戸ビエンナーレ2015」、NHK:世界遺産ドリームツアー!外国人が驚く!古都・奈良&京都、BS朝日:エコの作法「究める×銀閣寺」、MBS:ちちんぷいぷい「神戸の港と街で アートを楽しむ!神戸ビエンナーレ」、NHK:ワンダー×ワンダー「銀閣 幻の“月の御殿”」、BS日テレ:開局7周年特別番組「世界遺産をゆく~金閣寺・国王を夢見た男の輝きの世界~」、ABC:ニュースゆう「特集 哲学の道で桜を考える」、NHK:とっておき関西「銀閣寺の“幻の桜”」など。

https://oomoris.com

銀閣 観月CGシミュレーション

2001朝日新聞 京都新聞

2001年に朝日新聞と京都新聞に発表した国宝・銀閣での観月シミュレーション。2010年には銀閣の解体修理に伴う発見によって10年前の発表がクローズアップされ、NHKの番組ワンダー×ワンダー「銀閣 幻の“月の御殿”」にて詳細が放映された。
番組内容:最近の研究からは、銀閣寺を建てた将軍・足利義政が、月を愛でるために凝らした様々な仕掛けも明らかになった。東山からのぼる月の出の方角を正確に計算して建物や池の石を配置、月の動きに合わせて、銀閣の1階から2階、そして別棟へと延びる動線を設定。そのクライマックスで目に映るのは、月明かりに照らされて妖艶な輝きを放つ白亜の銀閣…。
番組では、秋の夜長、義政が夢見た究極の「月見の宴」を、豪華CGもまじえ再現。日本文化の粋(いき)が凝縮された「知られざる銀閣の姿」に迫る。

港で出合う芸術祭 神戸ビエンナーレ

2007兵庫県神戸市

神戸の芸術文化の力を集結させた、港で出合う芸術祭「神戸ビエンナーレ2007,2009,2011,2013,2015」のアートディレクション。
震災復興の文化事業として起案した神戸ビエンナーレは2007年から2015年までの5回10年間にわたり神戸市を中心に兵庫県内の施設と多くの芸術文化団体と連携しながらさまざまな国際コンペティションで作品を集め展示した。そこでの展示は現代アートにこだわらず、玩具、ロボット、園芸、いけばななど、既成概念にとらわれない幅広い芸術ジャンルを扱い、国際的にも特異な芸術祭と評されました。

嵯峨美術大学 有響館

2004京都市右京区 桂川沿い

京都、嵐山の渡月橋下流の桂川沿いに設計した嵯峨美術大学の施設(図書館、講義室棟)
地上4F、地下1階 美観地区 風致地区

ジュエリー 「KYO=銀閣」

2024水戸市

銀閣寺参道のダイナミックな美しさを装身具としてオマージュした作品。
小さなオブジェを身につけることで体験したことのある魅力的な空間を思い出し、その場にいた時のような気持ちになれるようなジュエリーを制作した。
作品は、潜在的記憶を蘇らせる要素の強いダイナミックな空間図式を有している銀閣寺参道を事例に、「今日は銀閣」という気分を纏えるようなブローチや指輪など、12点を制作した。

嵯峨八景図屏風:やまと絵で描く「日本の原風景」

2011京都市

野は嵯峨野さらなり『枕草子』
私たちは忘れつつある日本の原風景を求め、江戸時代の儒学者・貝原益軒の「嵯峨八景」の絵画化を試みました。文献資料を繙き、故事・祭祀を見聞きし、嵯峨野の四季を共に過ごしながら、描くという学びを通して「嵯峨野」本来の特性を探りました。
都人が夢見た嵯峨野を彩る“風景”は遥に深く、人も歴史も空間も、日本文化の源泉を内包するかの如くに魅力溢れる日本の大地です。その豊かな自然を感受する日本の情緒観を的確に醸す表現手法として、今や馴染みも薄い“やまと絵”という古典的な絵画技法の意味も再考しました。
展覧会の開催にあたり、作品説明用の図録「嵯峨八景図屏風」を発行した。ここでは、これまでまとまったものがなかった「嵯峨について」、「日本画(やまと絵)について」、「八景画について」など、やまと絵に疎くなった現代の絵師と日本の原風景に思いを馳せ難くなった近代の人々へ、初歩的な概念から実制作の手法までを説明している。

本研究制作は、2001年の春に開始し、約10年の歳月を経た2011年3月に完成した。
一般的な日本画家では技術的に困難なため、古画の修復や模写技術を習得している日本画の古画研究工房の出身者(現在は日本画家や仏画師)を中心にした組織(京都嵯峨八景研究会:7名)を編成し、描写対象とする景物などについては平安時代の生活習慣、植生、祭礼習俗、人物描写、画面構成などの研究を文献やフィールド調査から行い、専門家の助言を得ながら幾度もの小下絵から大下絵への過程を繰り返し、絹本彩色への本絵描きを行った。
*本作品は、京都大学建築会100周年記念コンペにて上位8作の佳作を受賞。

茶舟 「霧中菴」

2017京都府相楽郡笠置町、宇治市

2017年に京都府主催にて開催れた“お茶の京都博”での企画、「一坪茶室」の制作
〜京都府の“お茶の京都エリア”の12市町村が提供するコンセプト茶室〜
 〜流派や形式にとらわれない自由な発想の「おもてなし空間」〜
日時 2017 年10 月21日(土) – 22 日(日)/場所 宇治市 塔の島
この作品は、笠置町とのコラボ作品として、笠置町の地場産業・カヌーを使った茶室『木津川に浮かぶ茶舟・霧中菴』を制作したものであり、他の市町村が提案した茶室の中にあって、異色を放った茶室である。
●計画概要
 最小限の空間で最小限の人間関係を安らぎともてなしの中で見つめ直す場として「一坪茶室」を捉え、世俗から隔離した小宇宙の形成を目指した。また、笠置町の特性を生かしたデザインとして、木津川の清流に身を投じ、世俗の喧騒からも日々の時間からも解き放たれ、自然と一体化する瞬間に一服の茶を点てられる茶卓を提案した。
●変様装置としての「茶卓」
 茶の湯を実践するに際し、茶室は不可欠ではない。しかし、非日常的な場のしつらいは求められる。すなわち、「茶」は飲むという行為や飲料水としての機能を第一義としてはいない。様々な解釈はあろうが、変様した場での非日常的で空間としての至高な世界観の体感に意義がある。そこで、空間演出にあたり、場を一転させるしつらいの道具として「茶卓」を設計した。
 露地を抜けて躙口から茶室に入る時のように、清流に浮かび静寂の時を迎えた時に、一隻のカヌーが茶室へと変様する仕掛けとして折りたたみ式の携帯卓である。

サインオブジェ 「あかし」

2011神戸市中央区 ポーアイしおさい公園

神戸ビエンナーレ2011 サインオブジェ「あかし」
Sign-objet “AKASHI”
コンセプト:ポーアイしおさい公園に設置するサインオブジェとして、照明とベンチを兼ねたデザインを設計した。夜間照明としての役割を果たしながら、縦置きの場合は1人掛け、横置きの場合は2人掛けのベンチとしても使えるデザインにしており、神戸港の眺望を楽しみながら語り憩える装置である。10基制作し、海岸沿いに配置した。 神戸マラソン時には、ランナーの走行コースと観客や観光客の動線線確保にも活用される目的も兼ねていた。

蕾みのような、卵のような、炎のような、精霊のような形に込めたのは、「あかし」です。
灯し、明かし、開かし、空かし、そして、その「証」の気持ちを込めて・・。
YouTube : http://www.youtube.com/watch?v=z-RTZVdD4Mc

茶室 「翠庵」

1998神戸市中央区

表千家茶道 広翠会の稽古場として設計
サイズ、形式は水屋も含め表千家にある八畳敷の茶室「松風楼」を直接実測し、可能な限り「うつし」の茶室とした。前室には4畳半の茶室、玄関には孤峰庵芒筌を模した障子越しの眺望が効く庭を設けている。
自身が設計した「元町カルチャービル」の6階フロアに建設。

羽裏 「月待ちに 写り移ろう かがみ池 櫻花おもほゆ 白銀の楼」

2015京都市上京区 織成館別館・岩上ホール

琳派400年記念祭事業
「羽裏」密かに楽しむ粋・洒落・数寄の美学『進化する琳派・羽裏展』への出展作品
会期:2015年4月11日(土)~4月19日(日)
会場:京都市上京区 織成館別館・岩上ホール
コンセプト:琳派のデザイン手法を再現するために考案した図案であるが、染色技法においては銀閣における観月の時系列風景をデジタル印刷機で染め、そこに熟練の友禅職人による手染めで銀粉染めを加えるという、これまでにない表現を試みた。
*この「デジタル染色と琳派的デザイン手法による『羽裏』」は、「平成27年度 意匠学会作品賞」を受賞した。

小倉百人一首文芸苑 歌碑巡り

2006京都市右京区 嵐山周辺

小倉百人一首歌碑めぐり事業基本計画
主催:京都商工会議所
周辺の文化資産や景観を活かしながら、融合調和を図り、さらに京都の新しい文化資産となるように、芸術性の高い歌碑にする必要がありました。そのため、景観デザインやランドスケープ、造園、彫刻の各分野より専門家を招き、歌碑建立デザイン検討委員会を設置し、石材の選定方法、歌碑のデザインのあり方などについて検討を行いました。
建物施設の建設しない美術館のあり方を提案したことに加え、当時は先鋭的なQRコードを歌碑の説明プレートに附し、歌の朗読と説明がネット上で見聞きできるようにするという斬新な取り組みが実施できたことは大きな成果であった。

プロジェクションマッピング さが彩々

2007京都市右京区 嵯峨美術大学有響館&松尾大社

嵯峨美術大学有響館と松尾大社楼門にて、動画像の投影を行う。当時は、プロジェクションマッピングという言葉や活動が一般的でない時代であったこともあり、事前告知の割には注目を浴びなかったが、嵐山・渡月橋でのライトアップとも相まったデジタル映像ショーは風光明媚な歴史環境に刺激的な効果をもたらしていた。

京都歴史環境芸術祭いとおしき – 歴史環境と芸術の未来-

2015京都市北区 上賀茂神社、社家町

京都歴史環境芸術祭 実行委員長 大森正夫
世界を代表する伝統文化と歴史環境を有する京都で『京都歴史環境芸術祭』を企画し、環境芸術学会第16回大会と賀茂別雷神社第42回式年遷宮を地元の伝統芸術活動を行う団体などとも連携しながら、これからの芸術の在り方について広く社会に公開・提言した。

●社家町めぐるアート展
平成27年11月14日(土)〜15日(日):屋内展示(2日間)
会場:上賀茂社家町 一般無料
●上賀茂・千年アート展
平成27年11月14日(土)〜22日(日):屋外展示(9日間)
会場:賀茂別雷神社 一般無料

主催:京都歴史環境芸術祭実行委員会、環境芸術学会
後援:京都市,賀茂別雷神社,京都文化交流コンベンションビューロー,琳派400年記念祭委員会
協力:京都国立博物館,京都嵯峨芸術大学

上賀茂・千年アート展

2015京都市北区 上賀茂神社

開催期日:11月14日(土)〜22日(日)
展示会場:上賀茂神社境内
展示時間:10:00-17:00 
出展作家:山口勝弘、高須賀昌志、宇宙芸術研究部会、高橋綾、下山肇、酒井正、伊藤隆治、石上城行ほか
ワークショップ:下山肇
主催:京都歴史環境学会実行委員会、環境芸術学会

社家町めぐるアート展

2015京都市北区 上賀茂伝統的建造物群保存地区

京都市北区・上賀茂神社の周辺に広がる社家町の伝統的な建造物や風景を生かした芸術作品の展覧会を開催した。
開催期間:11月14日(土)〜15日(日)
展示会場:上賀茂伝統的建造物群保存地区(梅辻家、津田家)
展示時間:10:00-17:00 
出展作家:桜井龍、趙慶姫、平戸貢児、山崎真一、浜地孝史、大森正夫
主催:京の社家を学ぶ会
共催:京都歴史環境芸術祭実行委員会、環境芸術学会

文化庁メディア芸術祭神戸展

2012神戸市 デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)

この展覧会は、『平成23年度(第15回)文化庁メディア芸術祭』の受賞作品からインタラクティブアート、デジタルフォト、グラフィックアート、ウェブ、アプリケーション、ゲーム、アニメーション、マンガ作品などを総合的に紹介した。また、神戸ビエンナーレ2013のプレイベントでもあり、過去のコンペ入賞作家による招待展示も行った。
場所は、デザイン都市・神戸」のシンボル拠点であるデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)。
期間:2012年11月17日(土)~11月25日(日) 9日間
場所:デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)1F
入場:無料
主催:神戸ビエンナーレ組織委員会、神戸市
共催:文化庁

建築家 川崎清「見えざる建築」の輪郭展

2022京都市 京都市勧業館 みやこめっせ

会期:2022年11月19日(土)〜27日(日)
会場:京都市勧業館 みやこめっせ
主催:NPO法人 建築文化継承機構(JIA―KIT建築アーカイブ)
協力:(株)環境・建築研究所
The exhibition [Architect Kiyoshi Kawasaki: Outlines of “Invisible Architecture”] was held at Miyako Messe.
京都大学と(株)環境・建築研究所にて川﨑先生の薫風を近くで受けながら研究と設計に携わってきた者として、建築文化継承機構からの展覧会構想を受け、川崎清先生の活動拠点である京都にて代表作を会場にした展覧会を催し、先生が常々心していた環境について、地に着いた建築作品を実体験する中で共に顧みる機会を企画しました。
また、図録に「「見えざる建築」の輪郭から」を寄稿。他の執筆者には、川﨑清邸を設計担当した高松伸、京都の景観論争で関わられた原広司、京大建築設計講座を担った竹山聖、京都市美術館の改築で関わられた青木淳、教え子であり現在の設計講座を担う平田晃久、初期の代表作とCAD開発を担った山口重之など。

観月の銀閣 TV放送

2010NHK ,NHK-BS ,NHK World ,BS朝日 ,KBS京都

銀閣の観月シミュレーションは、国内外のテレビにて取り上げられ、日本の建造物と庭園設計、さらには観月の美意識などについて論及されている。