会長挨拶
環境芸術学会は昨年、設立25周年という節目を迎えました。
この四半世紀、私たちは「自然環境(ナチュラルな外界)、人工環境(建築や都市)、そして急速に進化する電子的環境(情報空間)の三層の環境」に包まれた現代人の姿を深く見つめながら、 学際的な創造活動を推進してまいりました。そして今、私たちはその成果を次の時代へとつなぐ、 新たな扉の前に立っています。
本年度の大会開催地・渋谷は、混沌と整備、歴史と未来、感情と情報──あらゆるものが複雑に入り組み、立ち上がるこの街は、都市という生き物の鼓動を映し出す鏡であり、「都市の縮図」ともいえる存在です。その絶え間ない変貌は、現代社会が直面する根源的な変化を象徴しています。 渋谷はまさに「物理的環境」と「電子的環境」とが複雑に交錯する場所。この街は、情報、文化、技術が激しくぶつかり合いながら、未来の都市像をかたちづくろうとしているのです。まさに社会の課題と希望が交錯する『実験場』として、私たちに問いを投げかけています。
AIが創造の深部にまで触れはじめ、クリエイティビティの定義すら揺らぎつつある今、環境芸術はあらためてその根を問われています。路上、 空き地、再開発の狭間、そして見えないネットワークのなかで、すでに多くのアーティストたちが新たな光を投げかけています。制度を越え、形式を超え、環境芸術は声なき声に耳を傾け、壊れかけた関係をつなぎなおす媒介として、今まさに息づいているのです。
「人間と環境」「技術と倫理」「自然と都市」 ──私たちがしばしば対立的に捉えてきたこれらの概念も、環境芸術というフィルターを通すことで、交差と共鳴の風景へと、やわらかく編み直されていくのではないでしょうか。そして、どれほど技術が進化し、社会の構造が変化しても、芸術の出発点にはいつも、ささやかな人間の情動があります。
誰かに伝えたい。社会にはたらきかけたい。よりよく生きたい──。
その純粋な願いから立ち上がる創造の力こそが、私たちの未来に新たな風景と関係性をもたらすと、私は信じています。
この大会では、多岐にわたるテーマに基づく60件にのぼる研究発表が準備されています。都市のようにひらかれ、多様な感性と専門性が行き交うこの大会が、対話と創造的な刺激に満ちた場となることを心より願っています。
これからの半世紀を共に築いていくすべての方々に心より感謝を申し上げるとともに、本大会の開催にご尽力くださった関係各位に深く御礼を申し上げます。
環境芸術学会会長 高須賀 昌志
2025年8月30日
歴代会長・副会長・事務局長
| 任期 | 会長 | 副会長 | 事務局長 |
| 2000年7月〜 2001年12月 |
山口勝弘 | 伊藤隆道 藤本修三 |
高須賀昌志 |
| 2002年1月〜 2003年3月 |
伊藤隆道 (会長代行) |
藤本修三 | 高須賀昌志 |
| 2003年4月〜 2005年3月 |
伊藤隆道 | 池田政治 藤本修三 |
高須賀昌志 |
| 2005年4月〜 2008年3月 |
伊藤隆道 | 池田政治 藤本修三 |
高須賀昌志 |
| 2008年4月〜 2011年3月 |
池田政治 | 高須賀昌志 | 酒井正 |
| 2011年4月〜 2013年3月 |
池田政治 | 高須賀昌志 | 酒井正 |
| 2013年4月〜 2014年3月 |
高須賀昌志 (会長代行) |
ーーー | 酒井正 |
| 2014年4月〜 2017年3月 |
高須賀昌志 | 大森正夫 | 酒井正 |
| 2017年4月〜 2020年3月 |
高須賀昌志 | 大森正夫 | 酒井正 |
| 2020年4月〜 2023年3月 |
高須賀昌志 | 大森正夫 鈴木太朗 |
石上城行 |
| 2023年4月〜 2026年3月 |
高須賀昌志 | 大森正夫 鈴木太朗 |
小佐原孝幸 |
| 2026年4月〜 2029年3月 |
鈴木太朗 | 酒井正 谷口文保 |
小佐原孝幸 |