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学会概要

環境芸術学会設立趣意書
 
 現代の日本では、戦後半世紀をかけて構築してきた社会における諸制度が多くの矛盾した問題に直面しており、緊急な再検討を迫られている。当然その再検討の中には文化の社会的役割についての問題も含まれており、それらの問題を解決するためには、芸術・デザインに関する実践的活動及び学問的研究が求められると同時に、社会的役割を検討するための新しい組織の設立が必要とされる。今回私たちが環境芸術学会の設立を意図した理由は、芸術・デザインの諸問題を幅広い視野の中から把握する必要に迫られていることを痛感し、その再検討のための全く新しい視点を確立するための場をつくりださなければならないと考えたからである。

そのための重要なキーワードとして「環境」という言葉が選ばれた。「環境」という概念を新しい視点から再定義することによって、芸術・デザインが現在置かれている立場の展望を明確に行うことを意図している。

すでに1960年代から世界的に環境という言葉が、芸術・デザインに結びつけられながら語られてきた。近代の芸術・デザインが新しいパラダイムを確立していった過程のなかで、自立的存在としてつくり上げられると同時に、専門分化が始まり、総合的な視点を失っていった時、環境という概念が導入されたのである。
そして1970年代以降、地球的視点から環境を見つめ直す立場が支持され始め、いわゆる大量生産消費によってもたらされる石油エネルギー資源の枯渇や環境汚染に対する関心が高まった。さらに人類が宇宙空間から青い地球の姿を認識し、バックミンスター・フラーの先駆的哲学に基づいた「宇宙船地球号」としての地球環境が把握され始めたことが、こうした新しい環境観を育てることにつながった。一方、社会のコンピュータ化、地球規模での情報化が始まり、20世紀後半以来、情報技術革命が進んだ。そうして、自然的環境と人工的環境のみならず、電子的環境に包まれているという、新しい人間の姿を確認しなければならなくなったのである。

環境芸術学会の設立は、環境芸術の社会的役割と実践的行為を対象とした創作活動と理論研究を行ない、観賞者や市民の関心を高めるとともに、市民の側との相互評価によって新しい計画推進を図るものである。この学会の対象とする分野は、宇宙環境から身体環境へ拡がる幅広い領域における創造活動を対象とするため、学会活動の進展の中からさらに新しい活動領域が加わっていくものと考える。
またこの学会においては、緊密な会員相互のコミュニケーションを作り上げるとともに、若い創造者の育成と新しいリーダーの社会的活動の場の形成を目指している。


(平成12年5月1日)