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活動報告

環境芸術学会第9回大会 「環境・交叉する時間」
 

2008年10月18日(土) 19日(日)
東京藝術大学 馬車道校舎及び新港校舎

第9回大会報告                             

学生参加で盛り上がったコラボレーション―エキジビション  
「アートと科学」をめぐって充実した討論―シンポジウム

大会実行副委員長 前田義寛
会場:馬車馬校舎
9回目を迎えた環境芸術学会の年次大会は横浜市を舞台に10月18、19両日にわたって開催された。
第8回大会は福井県あわら市「金津創作の森」を会場にして開催された。地方開催の次は東京開催という不文律から、第9回は東京周辺で開催することが既定方針だった。開催地については、諸案の中から東京藝大大学院映像学科(馬車道校舎、新港校舎)があり、09年には開港150周年を迎える横浜市で開催することが決定した。ちょうど同じ時期、「横浜トリエンナーレ」(9月13日〜11月30日)が開催されていることから、アートイベントとしての相乗効果による動員も期待された。
3月には木戸修理事を実行委員長とする実行委員会が発足、大会実施要領の検討がはじまった。「アート系の学生が参加しやすい企画によって、横浜トリエンナーレと相乗効果をねらいつつも対象的なエネルギッシュな大会にしよう」と、実行委員会の意見は一致した。大会テーマの検討段階で、横浜トリエンナーレのテーマである「タイムクレバス」(時間の裂け目)との関係性を維持するということもあり、大会テーマには「環境・交叉する時間」が採用された。具体的には「共同研究エキジビション」という形式で学会会員及び学生が参加しやすい形式の展覧会が検討された。多くの芸術系学生を参加させることで、若いエネルギーによるパワフルでダイナミックなコラボレーションを実現しようということになった。
一方、たほりつこ副委員長を中心に記念講演とシンポジウムのテーマ設定とパネリストの人選が進められ、「アートと科学」の接点をテーマとする企画が具体化した。記念講演は「タイムクレバスへの探求」と題して横浜トリエンナーレ総合ディレクター、水沢勉氏に依頼した。水沢氏の発言を受けてのシンポジウムには、地球史の研究者であり、ユニークな著作も多い丸山茂徳(東京工業大学教授)、メディアアーチストとして活躍する藤幡正樹(東京藝術大学大学院映像研究科長)の両氏が参加、たほ実行副委員長がコーディネーターを務め学際的な発想によるテーマと異色のパネリストの組合せで記念講演/シンポジウムが行われることになった。
共同研究エキジビションは「コラボの時間、わたしの時間」という共通課題による造形を主とする展示が行われることになった。芸大大学院映像学科の積極的な協力のもとで、会場計画が検討されたのは6月頃であった。新港校舎は映像制作のためのスタジオがあり、照明設備が完備、天井の高い空間は展示会場として大変魅力的だった。新港校舎会場では、会員の作品発表、コラボ展示、馬車道校舎(1階ホール)では、口頭発表、記念講演/シンポジウムを行うことがそれぞれ決まった。2会場間は徒歩10数分の距離があり、当初は分散開催することは事務局の負担も大きく、動員上も問題がありはしないかと案じる声もあったが、大会成功を期して実行委員、事務局による協力体制が組まれ、スムースな運営に努力した。
各大学に向けてのコラボ展示の参加の呼びかけはインターネットによる告知と理事、実行委員の積極的なアプローチの結果、最終的に9大学と1部会の参加が決まった。4月から6月にかけて参加チームによる会場下見会、実施打合せ会、代表者会議、学生会議などが次々に開催され、メーリングリストによる意見交換も活発に行われ意思の疎通を図った。
コラボレーションのムードは次第に高まっていった。「交叉する時間」というテーマフレーズにふさわしく、実行委員、学生代表、参加チームのメンバーがそれぞれの制作モチーフと展示計画を洗練させ、全体としての関連性(コラボレーション)を感じさせるような展示空間の創造に挑戦した。
実行委員と事務局スタッフの献身的な努力によって、開催当日はお天気にも恵まれ、予想したとおり隣接の施設で開催されている横浜トリエンナーレとの相乗効果もあり、一般市民の皆さんの来場も多く見受けられた。
「環境・交叉する時間」シンポジウムは、横浜トリエンナーレが掲げたテーマ「タイムクレバス」の概念やその時代背景の討論からはじまり、地球環境問題を踏まえて現代の時代状況と美術シーンとのかかわり、科学とアートの関係、アーチストの課題と期待など、幅広くまた奥深い討論で参加者に感銘を与えたようだった。
展覧会場内で行われた懇親会は、従来とは違って参加チームが創案した「おもてなし」の共同制作という、この大会のコラボレーションのコンセプトを見事に生かしたもので好評だった。
こうして第9回環境芸術学会は滞りなく終了した。高須賀副会長は「学生参加によるコラボレーションが成功したことは、学会活動が世代を超えて新しいステージに入ったことを感じさせる」と感想を述べた。池田会長は「横浜大会の成功は、実行委員、事務局、出展関係者の努力、会場を提供していただいた藝大大学院映像研究学科関係者の方々のご協力によるもので、感謝したい。次大会は学会設立10周年の年でもあり、さらに発展した学会の姿をアピールする機会としたい」と締めくくった。

エキジビション「コラボの時間」           
10月18日(土)・19日(日)10:00〜18:00 新港校舎
共同研究エキジビション「コラボの時間」を振り返って           
大会実行委員 渡辺五大

 「たった二日間のイベントにどれほどまでにエネルギーを費やすのか?」
昨年11月に当学会に入会したばかりの私にとっては「環境芸術学会=コラボの時間」と言っても過言ではないほど、この企画の立ち上げから展示終了まで約1年間、高須賀副会長の補佐として運営に関わらせて頂きました。このような大きなイベントを作り上げていく現場に立ち会えたことは、個人の活動の中では得がたい、とても貴重な体験になったと思います。幾度にもわたって開かれた実行委員や出展団体代表との会合の数々。丁々発止の論戦、時には突飛なジョークや閃きが飛び交い、皆さんの持つエネルギーのぶつかり合いや融合を目の当たりにしながら、展覧会の概要が出来上がっていきました。また酒席に場を移しての “非公式”会議が何度となく開かれたことで相互の意見交換がより活発になった?ことも書き加えておきます。
さて、私達が目標にしたことは、会場となった「東京藝術大学大学院映像研究科新港校舎Aスタジオ」というユニークな空間を最大限に生かした展示がどうしたらできるか、ということでした。そのために、環境芸術の領域において研究活動を実践する研究者に参加を募り、コラボレーションにより「環境・交叉する時間」を表現するという内容に決定しました。その結果、出展10団体(9大学1研究部会)、出品者総のべ人数は122名に上る大変多くの人々が「コラボレーションによる作品制作」と「作品相互のコラボレーション」という稀有な課題に数ヶ月という限られた時間の中で取り組んでいきました。これらが実現できた原動力はなんといっても学生達の力があってこそ,だったと思います。作品制作にはじまり、レセプションでの料理プレゼン、受付、会場及び屋外警備、備品運搬等々、彼らの奮闘があっての大会の成功だと思っています。
この儚くも贅沢な「コラボの時間」は横浜トリエンナーレの隣で見事なコントラストを描いて束の間輝き、消えました。
冒頭の一文「たった二日間のイベントにどれほどまでにエネルギーを費やすのか?」
今はこれを成しえた環境芸術学会の凄みを知り、脱帽しています。

 
10チームが参加して「時間」を表現               
大会実行副委員長 前田義寛
 今回の統一テーマ「交叉する時間」を環境芸術作品として発表するにあたり、理事会、実行委員会で会場の使い方、展示方法等がいろいろと検討された。その結果、「時間」というキーワードのもとで参加チームによる共同展示方式案がかたまり、学会員を介して参加チームを募った。

 各チームから「時間」のイメージした「共有」「浸食」「連結」「記憶」「夢想」「生命」「物語」「陰影」「集積」「循環」という10のキーワードが寄せられ、天井の高い会場(映像制作スタジオ)特性を生かした作品展示を構想した。大学チームの作品制作に当たっては学会会員の先生が制作指導を担当し、展示空間のテーマは「コラボの時間」と決まった。
主題の「時間」と展示空間を共有し、10チームがそれぞれのキーワードを立体的に表現するというCollaborationはこうして実現した。

10チームの作品の概要
「夢とやすらぎの時間」 (都留文科大学・初等教育学科平面専攻)
自然の象徴「木」をモチーフに「夢想」の世界を表現した。
「暇な時間」 (東海大学PICTORIプロジェクトチーム)
携帯で写真を撮って送り知らない人と楽しい時間を共有しあう。
「The shape of time」 (女子美術大学立体アート学科金属専攻)
54人が着た54枚のTシャツの過ごした時間をキューブに集積。
「陰影の時間」 (東京藝術大学先端芸術表現科グループ)
実体のない「かげ」に多様な切り口でアプローチした。
「26,280時間」 (東京藝術大学美術学部彫刻科・工芸科)
歩道に設置された「取手ストリートアートステージ」作品を展示。
「あの時間」 (多摩美術大学造形表現学部)
神秘的な生命サイクルとして女性だけが体験する時間を具現化。
「循環の時間」 (群馬県立女子大学GPWU design)
自然界で起きる循環の時間を木に見立てた2本の柱で表現。
「絵本の時間」 (洗足学園子どもの心の発達グループ)
さまざまな太さのツゲで球体を作成しその連続と非連続を表現。
「浸食の時間」 (多摩美術大学映像学科メディアアート専攻)
落ちてくる水滴を受けた平面が作る不思議な造形で浸食を表現。
「海が記憶する時間」 (時空環境研究部会)
漂着した陶磁器破片の一つひとつが記憶する時間の記憶を表現。

エキジビション「わたしの時間」 
10月18日(土)・19日(日)10:00〜18:00 新港校舎
大会実行委員 平戸貢児
環境芸術学会第9回大会は「環境・交叉する時間」をメインテーマとし、その中で2種類のエキジビションが行われました。その1つ、「わたしの時間」と題された展覧は、「交叉する時間」をコンセプトに学会員が個人参加でそれぞれの作品を持ちより展示する、グループ展形式の展示となりました。
会場は、東京藝術大学新港校舎のギャラリー及びエントランスホール(約130u)を使用し、学会員21名の参加で行われました。
会員個々の研究活動においても「時間」というキーワードは重要なテーマであり、今大会の発表に向けて「時間」に対する考え方を参加会員それぞれが問い直し、作品として具現化することは、表現の可能性を再認識し確認できた貴重な場であったと言えましょう。
会期直前に展示会場変更等のトラブルはあったものの、出品作家同士の協力とそれぞれの作品の質の高さで、見ごたえのある展覧会になりました。

 
「わたしの時間」に参加して  
 四方健雄
 人が同じものを見て同じ経験をしたとしても、決して同じ価値をそこに見いだすとは限らない。しかし全く異なる時間を過ごしてきた他人と、ふとした切掛けで気持ちが通じ合ったとき私の時間は私だけのものでは無くなり、そこに人としての繋がりが生まれるのではないだろうか。
懇親会・コラボの時間? ザ・プレゼンテーション
10月18日(土)18:30〜 新港校舎
 
「懇親会・コラボの時間 ザ・プレゼンテーション」を終えて
大会実行委員 池村明生

 本大会のメインイベント(?)でもあった「懇親会・コラボの時間 ザ・プレゼンテーション」を無事終了することができて、進行役としてはほっとしています。
毎年、大会の懇親会は「会員間の交流」を目的に、おいしい食事とお酒を囲みながら会場近くのレストランを借りて執り行うことが通例でありましたが、「多くの学生が参加してくれる“コラボの時間”の展覧会場で、学生たちをメインに懇親会とトークセッションを開催しよう」ということで、今回の懇親会の方向性が実行委員会で決まりました。担当者になった私は当初、中華街が近くにあるからケータリングで対応すればどうにかなると多寡をくくっていたのです。
懇親会の担当は、理事の前田さんと私。共に横浜在住の二人は横浜の地で二人だけの会議を数回催しながら(時には前田さんの奥様を交え三人で)、“コラボ”にふさわしい懇親会を企画するに至ったのですが、基本的な考え方は次のようでした。
1)参加者のほとんどは懇親会後に中華街に繰り出すだろうから、腹を満たすことは考えない
2)その分、懇親会費は安く(その後の出費に配慮して)、学生は千円とする
3)展覧会に10チームが参加するので、事前にお金を渡して“参加者一人が一口ほおばる”ことのできるおつまみを、チームごとに準備してもらう
4)トークショーを行うので、おつまみは“作品コンセプトを表す”ものにしてもらう
会議が酒場であったことも影響してか、担当者にとってはたいへん都合のよい企画にまとまったわけです。しかし作品づくりで忙しい学生たちにとっては「面倒!」と思われる内容でしたが、事務局および実行委員会をはじめ、出展代表となっていた各チームの先生方のご支援(?)もあり、実行委員会お墨付きの企画となりました。
当日は各チームの学生たちの準備も手際よく、100名以上の参加者の方々をおもてなしするに充分なバラエティ豊かなおつまみが登場して、話題性に富んだ会になりました。また90分という短い時間でしたが、楽しい時を過ごせたことはひとえにこの企画をおもしろがってくれた方々のおかげと、特にご協力いただいた学生の皆さんにはあらためて感謝しております。
前田さんとの企画会議で話したスローガンは「展覧会とは別に、もう一つの“コラボの時間”をつくりましょう!」でしたが、学生たちが結集したパワフルな展覧会同様、その会場で執り行われた懇親会(ザ・プレゼンテーション)も共同作業によって成立した格好であり、参加者の方々にはそれなりに楽しんでいただけたのではないかと勝手に考えているところです。

学生コメント
小林由季(群馬県立女子大学美学美術史学科3年)
最初に今回の懇親会の話を聞いたとき、軽い思いつきから水餃子を作る計画が立ち上がり実際に作ることに決定しました。なぜ水餃子なのかと言うと、スープの中を循環している様子が私たちの「循環の時間」という作品テーマに合っていることと、どうせならちょっとでも意外性のあるものを作ろう!という意気込みがあったからでした。
メンバーの中でも学年が一番下である学部3年生が中心となって、買い出しや調理をしました。一番の問題は会場が火気厳禁だったことですが電気ポットを使っての調理という作戦をとることで強行に計画を押し進めました。結果として人手が必要になる調理法だったため、学年関係なく協力して調理が出来たこと、また皆様にも美味しいと言って頂けたことはとても良かったと思います。とてもおいしくお酒が飲めた素敵な懇親会になりました。ありがとうございました。
八桁健(都留文科大学4年)
都留文科大学は今回のコラボの時間に「夢とやすらぎの時間」というテーマで取り組みました。子どもの夢を形にしたこの巨大な作品を前に、どのような料理を用意しプレゼンテーションしようか? 開催場所である横浜との関わりは?
そう考えて思いついたのが輸入菓子でした。作品イメージの「お菓子の生る木」、世界の「貿易港」横浜、という2つを掛け合わせた結果です。主食とは違い、皆が始めからたくさん食べに来てくださるということはありませんでしたが、作品をアピールする良いきっかけになったと思っています。
このように、それぞれの大学の作品を、目と耳と味覚(嗅覚も?)で楽しむことができた懇親会は、今でも体が記憶しています。

黛真美子(女子美術大学修士1年)
撮影スタジオという特殊な広い空間で、様々な分野、目線の異なる方々と展示を致しました。私達にとって、学外の方と接する事は稀少でよい経験でありました。
懇親会では、学会の中で聞く側でなく、発言する側に立つというこれもまた稀少な体験をしました。自らの作品について大勢の前で話す機会もほとんどない中で、共同制作の代表者として、他のメンバーの意と外れずにしっかりと意見を述べられるかと、大変緊張しました。料理は、私達の作品についた副題の「集積」という言葉を元に、積層状のラザニアを用意致しました。
展示期間は2日と短く、他の大学等の方とはあまり話す機会がありませんでした。もっと話をして、新たな刺激を与え合えたらよかったと感じております。

研究発表/口頭発表、パネル発表、作品発表 
大会実行委員 高橋綾
 口頭発表は、昨年の発表数ほど集まりませんでしたが、世界のパブリックアートの研究から個人の内面がわかる作品研究まで幅の広い研究発表会だったと思います。パネル発表は、少ないながらも学生会員からの発表や地域性を活かした研究等、充実した内容だったように感じます。作品発表(映像による発表)は、実作品の展示が出来なかったのは残念ですが、ビデオを活かした動画編集された作品が多く、クオリティの高い発表になったと思います。
今回、会報の新しい試みとして口頭発表者、パネル発表者からの感想をいただきそのまま掲載する形をとりました。発表者のリアルな感想から学会に対する姿勢が伺えるようになったと思います。研究内容は、既に配布されている大会概要集で掲載されていますので、照らし合わせていただきながらご覧ください。
<口頭発表> 10月19日(日) 9:30〜11:50 馬車道校舎

●工藤安代(アート&ソサイエティ)
「パブリックアートにおけるサイト・スペシフィシティの変容―1960年代〜90年代後半まで―」
大会の研究口頭発表では、パブリックアートが敷地といかなる関係を持ってきたかについて、1960年代から90年代までの変化をアメリカでの事例を中心に発表した。朝一番の発表であったこともあり、会場は最初、多少眠たい雰囲気に包まれていたが、発表後にはいくつかの興味深い質問を受けた。発表に対する会場からのリスポンスは、自身の研究内容を客観的に捉える機会を与えてくれる貴重なものとなった。20分の発表時間内にあわせて報告内容をまとめるのは、なかなか難しいようにも思ったが、会場の設定やスタッフの進行などの努力が実り、良い雰囲気の大会発表であったと思う。

 
●清水裕子(大阪市立大学創造都市研究科博士課程、アート&ソサイエティ)
「パブリックアートと都市再生 イギリス Channel 4 Big Art Projectを中心に」
環境芸術学会は多様な立場や関心をもつ人々が集まり、環境とアートのあり方を幅広く議論するユニークな学会だといえる。そのような学会の特徴が、今回の横浜大会の研究発表では、まさにポジティブな意味で発揮されていたと思われる。パブリックアートのアメリカやイギリスにおける検証研究や、教育の現場における実践についての研究、またアーティストそれぞれの創造の過程についての研究報告など、多面的な視点が提示され、互いの関心を共有し議論する場になった。今後、より多くの人々が参加し、議論がさらに活発化、ネットワーク化することを期待したい。
 

●高橋靖史(彫刻、現代アート)
「メディウムとしての彫刻 -レイヤーワーク-」
初の口頭発表「メディウムとしての彫刻」は時間配分がまずく失敗でした。朝早くで聴衆が少なかったのが不幸中の幸いだったかも。
しかし、「わたしの時間」に展示した作品「時間層」が好評で、口頭発表の失敗を補ってくれたようです。来年の学会で、再挑戦しようと思います。

 

●谷口文保(神戸芸術工科大学)
「工事壁を利用した壁画制作の報告神戸文化ホール『芸術家の卵たち 〜震災のまちから芸術文化のまちへ〜』」
前回大会での「スミダンプロジェクト」の報告は、私にとって印象深いものでした。それが今回の発表につながりました。発表後の質疑から、工事壁を利用したプロジェクトが、美術教育やパブリックアートなどさまざまなテーマを孕んだ実践活動であることが分かってきました。
また前回大会から、地域社会と関わる実践活動の報告が増えてきたように思います。今回は、海外のパブリックアートに関する研究発表も複数あり、社会とアートのつながりを考える上でとても勉強になりました。これからも、このような充実した場を発展させながら、地域社会と関わるアートについて多くの方々と研究交流を進めたいと感じています。

●村松俊夫(山梨大学教育人間科学部/立体造形)
「等高重心の構造を用いたキネティックアート」
長年「なめらかに転がる立体造形」をテーマとして、実験的作品に取り組んでいる。今回は、よく知られた等高重心立体の一つである“Hexasphericon”をもとに制作した。
この構造を用いた造形は、幾何学おもちゃや科学体験展示物として様々なところで目にすることができる。しかしながら、いずれの作品も手のひらサイズの小さな構造模型のため、せっかくのユニークな動きも、多分に“せせこましい”印象を受ける。
そこで、これまでの作品と同様、ステンレススチールのパイプを素材に、1メートルを超える大型作品として制作した。これにより、造形芸術にふさわしい、ゆったりとした動きを付与することができた。

 

●山田良(札幌市立大学デザイン学部空間デザインコース/野外インスタレーション、空間アート)
「風景の見せ方に関する考察 -札幌圏におけるプロジェクト実践報告-」
さまざまな専門分野を包含するとても先駆的な学会であること、あらためて実感しました。アカデミーの世界ではとかく範疇を明示しなければならない雰囲気が漂いますが、環境芸術学会大会では「形式はともかく表現していること」が参加者に共通しており、皆さんが他の発表者の活動を興味深く見ていること印象的でした。
次回以降も継続して参加、発表していきたいと思いますし、今後さらに範疇にとらわれない作品、研究発表を拝見できることを楽しみにしています。
写真:さっぽろシャワー通り「Anonymous Garden」現地スタディのようす

●橋本忠和
(姫路市立安富北小学校勤務・兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科所属/市民リテラシー、環境教育、環境芸術、造形教育)
「市民リテラシーの育成と環境芸術」
研究発表では、市民リテラシーと環境芸術の関係を環境白書や新学習指導要領、さらには兵庫県姫路市の児童、教師へのアンケートを参考に分析したものを発表させていただきました。
発表により、今後の地域が持続可能で創造的な社会になるためには市民リテラシーの向上が必要で、その向上には、環境芸術の表現活動を取り入れて日本各地で行われている多重連携交流芸術活動が非常に効果的であることを示そうと思いました。とにかく、環境芸術は地域や学校の美術教育に活力を与えてくれるものと考えています。
市民教育としての環境芸術の教材化の研究を今後さらに深め、再び学会で発表できるように頑張ります。
学会では、自分の発表以外にも、アメリカやイギリスのパブリックアートの政策や日本におけるコミュニティアートの実践・研究を聞くことができました。そこから己の研究に表情に多くのヒントもらいました。本当に刺激的な横浜の研究会でした。

<パネル発表> 質疑応答 10月19日(日) 9:00〜 馬車道校舎

●橋本学・秋山智仁・渋谷翔(新潟大学教育学部芸術環境講座デザイン研究室)
「パブリックスペースに於ける環境芸術の新たな展開 -遊具的なシステム机 [Cu-Gu]-」
今回、学生会員としてはじめて環境芸術学会に参加し、パネル発表という形式で発表させていただきました。
予想以上に距離が近い発表に驚きもありましたが、逆にそのことが発表者と質問者の間の意見交換を円滑に進めているように感じました。
発表を行う上で、あらためて今回の制作を振り返り再考察する中で、今後の制作へとつながる糸口が見え、また横浜トリエンナーレ開催中ということもあり、二日という滞在期間ではありましたが大変実りあるものとなったように思えます。
その中でも、やはり様々な人との出会いが学会の魅力であることを実感しました。これを機会に他大学や他の所属の人々と繋がりをより広げられることを期待します。

●酒井正(実践女子大学美学美術史学科専任講師)
「カタチをつなげるワークショップ報告」
小学生を対象としたワークショップの内容をパネル発表で行いました。大会2日目の朝早い時間だったので何人の参加者が集まるのか心配でしたが、イーゼルに立てかけた2枚のパネルを囲んでの発表には丁度いい人数が集まりました。
私はパネル以外に、実際に使用した素材とワークショップ参加者が制作した作品そのものを手に持って説明をしました。写真や文字だけでは伝わりにくい部分がありますが、直接プレゼンテーションをして質疑応答出来る時間があるのは、よりわかりやすく発表を行うことができるのでとても有意義な時間だと思います。質問を受けて私自身も次の活動に役立つヒントを与えられました。今後の活動に活かしていきたいと思います。

 

●渡辺一洋(育英短期大学)
「赤城高原アートウオークラリーの取り組み」
環境芸術学会第9回横浜大会において、パネル発表をさせていただき、新鮮な形で自分の関わる実践を振り返ることができました。特に、質問や感想を受けるディスカッションでは、別の視点や角度を変化させていくことによって、新たな方向性が見えてきました。これまで企画してきたワークショップのいずれも「環境」「芸術」がキーワードとして入っています。身近な環境の変化を肌身に感じ、地球環境の移り変わりを感覚的に感じる時、感性や詩情に迫る芸術性が人間にとって、ますます大切になってくる時代であると思われます。今後も環境芸術学会を通して、様々な角度から教育的意義を探求していきたいと考えています。

 
ALBUM
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