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活動報告

環境芸術学会第8回大会 「森の力、芸術の力-人まちアート-」

   2007年11月9日(金)〜11日(日)/一部は10月20日(土)〜11月11日(日)
金津創作の森、他

第8回大会終了報告                             
大会実行副委員長 趙慶姫

 2005年夏、学会事務局に金津創作の森財団の方々がお見えになって大会誘致のお話を伺った時は、まさか自分が実行副委員長になるとは思ってもいなく、その後、成り行きで慣れない大役を引き受けることになり、ご心配をおかけしたことも多々ありました。ただ幸い十分な準備期間があったこと、財団の熱意、地元の方々ならびに関係者のご協力、そして何より素晴らしい環境施設のおかげで、無事に終了して安堵しています。
本学会の大会は毎回、様々な新しい試みがなされていますが、今回は初めて、シンポジウムに学会独自で海外から講師を招聘し、資料として事例集を発行、また本格的な屋外展示も行ないました。各担当委員の実行力に負うところが大きかったとは言え、財団の全面的な人的経済的バックアップがなくては実現できなかったと思っております。この場をお借りしてあらためてお礼を申し上げます。

 
[第8回大会に参加して]                                     
上坂 恒章

 第8回大会は,平成16年3月に芦原町と金津町が合併した人口約3万1千人のあわら市「金津創作の森」で開催されました。ミュージアムやギャラリーを備えたアートコアでは、口頭発表やパネル発表、屋内作品発表が行われ、四季折々の自然を体感できる水辺の広場やアートコア周辺では屋外会員作品展示が行われました。私は第6回大会から参加しておりますが、年を追うごとに口頭発表や作品発表が増加して充実した内容であると感じました。また、第7回大会より始まった日々の会員の活動を紹介する「会員紹介パネル展」は、とても良い企画であると思っています。それは、地味に活動する全ての会員に光を当てるという学会の基本姿勢があると思っています。大変、充実した大会となりとても楽しませて頂きました。実行委員会の方々のご苦労を深く感じ、大変お疲れ様でした。
今回はあわら市からの沢山の協力を得ることができ、総会には市長も参加され、懇親会においても市長、市議会議員、美術館関係者など多数が参加されたということは、本学会に対する期待の大きさと教育、学術研究に携わる者としての使命と責任を感じました。また、学会に入会してから感じていることは、とても開かれた学会であり学会内部のみならず、常に広く地域に暮らすお一人お一人を視野に入れた学会独自の姿勢を感じ、地域との連携や融合がまさしく成就した大会になったのではないかと深く感じました。 

最終日は、あいにく雨模様で気象の変化の大きな日でしたが、終盤には大きな虹が出現し、自然の偉大さと感動を改めて胸に刻み会場を後にしました。
 
エキスカーション            
11月9日(金)12:00〜16:30/北前船の里資料館永平寺
北前船の里資料館
初めに訪れた加賀市「北前船の里資料館」では、江戸から明治にかけて巨万の富を築いた豪勢な船主邸を見学し、一方、永平寺では案内の若い雲水さんから質素な修行生活のお話をうかがいました。
海と山、両極端の暮しぶり、時代の変化で消えていったものと760年間続いているもの、経済と信仰。
大会会場の近隣で北陸の歴史文化の一端を知ることができそうな場所ということでこの2ヶ所を選びましたが、訪れるまでは、
このような対比までは気がついていませんでした。そういう意味で、とても印象深いエキスカーションになりました。
永平寺
永平寺
北前船の里資料館
 
町歩きワークショップ                
 11月10日(土)10:00〜12:00/芦原温泉街
 町歩きワークショップ詳細
 
[町歩きワークショップに参加して] 横川昇二
歩いている様子
参加者が撮った写真
大学の先輩の故郷である芦原温泉、ほとんど事前情報も知識もなく参加してしまった、反省。
地元のまちづくりグループの方の丁寧な説明と案内で、短い時間ではあったが充実した見学ができた。最後の写メールを使っての一言感想も、興味深い話しをされ、私も何か少しでもお役に立てることと思い、いくつか上げさせて頂いた。
今、景観あるいはまちづくりという視点で、改めて考えてみると、次の3つの点について何か取り組まれたらと願っています。一つは、私の故郷米沢でもそうですが、町中に巡らされている水路を復元あるいは整備ということである。とくに、北側の緑の丘の麓にある水路は、ぜひ活かして欲しいものである。
二つ目は、町中の道が車のための道路となっており、路上駐車と前面にある駐車場スペースが町並みを壊し、歩くためのみちづくりではなくなっている点である。観光客はこのような道に魅力を感じるだろうか、地元の皆さんにも考えて欲しいことである。
三つ目は、見学もさせて頂いたが、旅館や大きなお屋敷の庭が道を歩く人からは見ることができないばかりか、高い塀のために確認すらできない点である。町中に緑が感じられないのは、この高い塀のためであり、閉ざすための塀ではなく内と外をつなぐ新しいつなぎ方を皆さんで考えてみて欲しいものである。
以上、短い時間の見学で、的はずれの指摘かもしれないが、感想として受け止めて頂ければ幸いである。

 
[町歩きワークショップで出会った人] 前田義寛
クロージング
芦原温泉には過去に何回か訪れたことはありましたが、そのときは単なる観光客として街中を歩いただけで格別の印象はありませんでした。熱海、草津、伊香保、別府などの温泉地と比べると、芦原はこれといった特色のない温泉観光地です。今回、町歩きという目的を持ってこの温泉町を歩いたわけですが、学会員だけでなく地元の皆さんも参加されて、それぞれの好奇心と目線でこの町を丹念に観察、それぞれの発見が視覚的に報告されました。環境芸術学会大会イベントとしては大成功だったと思います。次期大会でも「ヨコハマ町歩き」をぜひ実現させたいものです。
私自身の発見といえば、この町で一人の青年と出合ったことです。スローライフを実践している農業者麻布伝兵衛さんです。東京のデザイン事務所で働いていた彼は郷里の芦原へUターンし、農業者としてミニトマト「越のルビー」やからし菜、水菜などの野菜を栽培、芦原のスローフードとして販売しています。伝兵衛さんは「二人乗りの自転車がこの町にはとても似合うんです」といって私を乗せて温泉街を一周してくれました。二輪車の後部の立ち乗り台で町の説明を聞きながらか見た芦原の表情は新鮮でした。
「温泉観光だけに依存するのではなく、スローフードの開発や暮らしやすい町づくり推進で、芦原がスローな町になればいいと思っています」という伝兵衛さんの言葉が印象的でした。
 
研究発表

作品発表<屋外展示>
10月20日(土)〜11月11日(日) 
金津創作の森/アートコアおよび水辺の広場周辺

 会場の環境を生かすべく、計画当初から期待していた屋外展示ですが、作品にある程度の大きさが求められること、遠方での搬入出の負担を考えると、発表者が集まるのか不安でした。幸い、搬入出費用の一部補助が認められたこともあり、立体作品とサウンドインスタレーション、合わせて10組の参加がありました。
展示場所は発表者の希望と個々の作品の特性を考慮して、大会メイン会場、アートコアの入口付近と、水辺の広場としました。
この内、水辺の広場には、金津創作の森主催アートドキュメント2007で制作設置された、國安実行委員長の作品「森の竜神」が池の中にそびえ立ち、その周辺およびアートコアへの導線に沿って作品がバランス良く配置され、広大な敷地の中でも、学会としてあるまとまりを感じさせる展示となったと思います。
金津創作の森の屋外空間は入場が自由であるため、ジョギングや散歩をされている方もいて、搬入作業を興味深く見ていらしたり、大会会期に先立っての展示であったため、開幕を告知する地元福井新聞の記事に屋外展示の風景写真が載るなど、開催のアピールにも役に立ったようです。

[野外展示に参加して] 太田益美

 野外展示はこの「金津創作の森」というフィールドを得て、光、風、水、大地など、環境を強く意識する学会員の作品が多数出揃った。大会当日は、時折激しい雨が降ったかと思うと急に陽が射すというような不思議な天候の中、作品は刻々とその表情を変え興味深いものになった。また、サウンドインスタレーションが加わったこともあり、森全体がそれぞれの作品の波動が共鳴する素晴らしいコラボレートの場となった。
「金津創作の森」の窪地のサイトは、アートコアが崖の上に立つ神殿、池はディアナの鏡と呼ばれたネミ湖にたとえると、古代「アリキアの森」になぞられる。「森の王」になろうとする時、湖のほとりに金色に輝く枝「金枝」を折って森を司る祭司を殺すしかないという伝説。「森の王」とは植物の化身、「金枝」はその穀物霊の形代である。植物が生と死のリサイクルをくりかえすように、森のなかで作品が立ち現れては消えていくこのサイトでは、作品もまた「森の時間」の中にいる。今回の「野外展示」は森の時間にすれば一瞬にも満たないが、会期を終えた今もその残響が森の木立に木霊している。


[サウンドインスタレーション] クリストフシャルル

「創作の森」で発表した作品は、クリストフシャルル、キムソンフンと稲福孝信の共作で、森の中央にある池の近辺に設置したものです。音の変化によって、来客がその場所を新たに認識する、というのが狙いでした。200メートル離れた4カ所で、1カ所につき8個のスピーカーを樹木などに設置し、広い範囲で音を流すことが出来ました。その場で数時間にわたり様々な実験や調整を行い、4カ所の間の動きによって、風や雨、動物の泣き声、水の流れなどの既存の音を強調するように作品を構成しました。時間帯(昼と夜の響き方は違う)や気候(湿度)によって、音の伝達が大胆に変化します。
今後も、それぞれの環境の変化に呼応するような作品を手掛けていきたいと思います。 (スピーカー提供:CLD株式会社)


 

研究発表
 
研究発表
作品発表<屋内展示>、パネル発表
会員紹介パネル展
部会活動報告       
11月10日(土)〜11月11日(日)
金津創作の森/アートコア ミュージアム2およびホワイエ

パネル発表、部会活動報告、会員紹介パネルが展示されたホワイエは、金津創作の森主催によるあわら市環境アートコンペで一次審査を通過したマケット展示と共有であったため、一般の観覧者が多く、学会の活動をアピールできたと思う。
ミュージアム2内の作品展示については、天井の高い空間であることや、シンポジウム会場の一部だったため、弱くなってしまったことが反省される。デッキに出した作品は、雨で扉を閉じたため存在が分かりにくくなったかもしれないが、展示としては効果的だった。
11日朝、行われたパネル発表の質疑応答では、会員との共同発表の学生さんが熱心に研究の発表をされていた。またパソコンを用いて動画を見せた発表者もあって、興味深く聞いた。

懇親会                  
11月10日(土)17:00〜 
金津創作の森/アートコア レストラン

あわら市環境アートコンペと共催の懇親会は、開始に先立ってコンペの発表表彰が行なわれたこともあり、多くの来客、若いアーティスト達が参加し、越前ガニ、地酒、ソバを存分に楽しみ、交流を深めた。

研究発表/口頭発表     
11月11日(日)10:00〜12:00
金津創作の森/
アートコア ミュージアム2および研修会議室

本大会の特徴の一つに、口頭発表の分科会化があったと言える。少ない地元会員の中から新規会員も含め2件、近畿支部からは開催中の神戸ビエンナーレの紹介もあって3件、残りは関東から遠方にも関わらず5件あり、計10件の発表で、会場を二つに分けることになった。
全てを聞くことができないデメリットはもちろんあるが、部屋が隣り合わせであったので、短い休憩の間に目当ての発表を聞くために移動できたことは良かった。
欲を言うと、機材の都合で分けるのでなく、内容によって分けることができれば、興味のある発表が同時に重ならないようなプログラミングもできたかもしれない。また進行役も分科会座長といったより積極的な役割となることも必要かもしれない。今回は初めてであったため検討が不十分だったが、今後、ますます発表が増えていくことが予想されるので、対応していかなくてはならないだろう。
また10件の発表の内、部会活動の報告が2件、また直接部会の発表ではないものの、所属者による部会活動に関係する研究発表が3件あったことは、学会活動の活性化に部会が大切な役割を担っていることをあらためて認識させた。今後も部会の積極的な活動を期待したい。

ALBUM
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