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活動報告

環境芸術学会第6回大会「環境・連繋・芸術」 報告
10月21日〜23日               
於:札幌メディアパーク・スピカ/札幌市内
■ 環境芸術学会第6回大会「環境・連繋・芸術」 報告

□ エキスカーション
10月21日(金) 午後/札幌芸術の森・石山緑地・モエレ沼公園 (札幌市内)

  学会員20名、学生4名参加のバスツアー。
1つ目の場所、札幌芸術の森。伊藤隆道会長のステンレス製の大きなモニュメントが芸術の森の入口で私たちを出迎えてくれました。自然と一体となったたくさんの彫刻作品を観ることができ、その森の木々には、赤く色づいた紅葉も楽しむことができました。2つ目の場所、石山緑地は、國松明日香実行委員長をはじめとする北海道在住の彫刻家の発想を取り入れた見事な自然彫刻公園でした。古代ヨーロッパの遺跡を思わせる石山には、札幌とは思えない異空間が広がって いました。最後に訪れた場所は、今年7月にグランドオープンした世界最大の環境芸術作品といえるイサムノグチの「モエレ沼公園」です。地球を一つの彫刻とみなしたダイナミックな設計が見所でした。新たに制作された目玉施設・通称「海の噴水」では噴水のショーが行われ、様々な形に変化する水の造形を楽しむことができました。ショーが終わると見ていた人達から自然に拍手が起こってしまうほど美しい造形ならぬ水形でした。
「空の高さと清冽な空気、豊かな大地を実感してください。」という國松明日香実行委員長のお言葉の通り、素晴らしいエキスカーションでした。 /高橋 綾

芸術の森にて
 石山緑地にて  モエレ沼公園にて

□ エキシビション「環境芸術の現在2005」展 
作品発表・パネル発表・部会発表・一般作家作品展示    
10月22日(土)12:00〜18:00/23日(日) 9:30〜16:30 スピカ・アリーナ

会場となったメディアパーク・スピカは、周囲を観客席に囲まれた円形の多目的空間である。その空間の中に会員の作品を展示することになったのだが、作品の形態が多様である。立体や平面、染色作品など、この広い円形の空間にどのように展開していけば良いのだろう。図面を見て悩んでいたのだが、会場で打ち合わせをしていく中で徐々に配置が決まっていった。
ポイントは中心に高くて大きい作品を配置し、周縁に向かって小さくて低い作品を展示することであった。そうすることで周囲の観客席に並べられた「どこでもアート展」のボックス作品が良く見える。また、最初に会場に入った時に中心に目が行き、引き締まった印象になる。別室の第2会場には具象を中心とした作品を展示し、周囲の観客席の上部に平面作品、染色作品を展示することになった。壁にさえぎられた少し暗い空間に光を使った作品を配置することで全体としてまとまりのある会場になった。
外から来られた方の反応も非常に良かった。朝早くから夜遅くまで便宜を図ってくれたスピカの職員の方々、ボランティアで手伝ってくれた学生達、改めて感謝の意を表したい。 /畑 俊明

アリーナ中央展示
地下駐車場通路展示
 
 
キャットウォーク展示  

「どこでもアート」展     
10月22日(土)12:00〜18:00/23日(日) 9:30〜16:30/スピカ・アリーナ


この展覧会は学会大会では初めての一般公募の展覧会。誰もが参加できる展覧会として4歳の子供から中学校の美術部、一般の方まで参加していただき150点の作品が集りました。
共通条件であるボックスの中をテーマに沿って自由に表現した作品は、座席を利用した展示方法でアリーナ全体が作品に囲まれるような環境となりました。絵画的な作品、光を使った作品、動きのある作品等、様々な表現の作品が集まりました。
グランプリ賞: 酒井正氏(環境芸術学会会員)
札幌テレビ放送賞: 斉木章子氏(千葉大学)、畑佳織さん(恵庭市恵み野中学校)
ホクレン賞: 小松宏誠氏(東京芸術大学大学院)、水野遥ちゃん(4歳)  /伊藤 隆治

公開審査風景 公開審査風景

□「食のアート」 
10月22日(土)14:15〜/北パントリー前ラウンジ
大成功だった参加型パフォーマンス 1200個のコロッケを揚げる「食のアート」 /前田 義寛
 

「北海道の大地に根ざしたアート感覚のイベントで盛り上げたい」という実行委員長國松明日香さん、「屋台を持ち込んでコロッケ・パーティーなんかどう」という長岡貞夫さん。「それなら“食のアート”として展示と実演をしては」と私。1年前、第4回大会会場からの帰り道、国分寺駅前での雑談が、“瓢箪から駒”ならぬ“ジャガイモからコロッケ”となって実現しました。食の宝庫、北海道ならではのジャガイモ、たまねぎをはじめ、牛肉,食用油、ソースなど調味料一式などが、ホクレンのご好意で提供され,大小のなべ、フライパン、ボウル等調理用具も國松さんに手配していただき準備万端整いました。
午前10時、コロッケ学会会長でもある長岡さんがチーフシェフとして赤いエプロン姿で厨房入。この日のサポーターは國松先生の教え子、デザイン科の女子学生13名。段取りをする学生、食材を洗う学生、ゆでる学生、皮をむく学生、マッシュする学生、形を作る学生、揚げる学生、道具を洗う学生など、手際の良い分業で大量のコロッケが次々と調理されていきました。素晴らしいチームワークです。パーティー開催の6時を目標に、揚げも揚げたり1200個のコロッケが完成しました。午後5時頃には、作品として展示された長岡さんデザインによる移動式屋台の前には来場者が待ちかねたように並び、揚げたてのコロッケを味わいました。北海道では珍しいカレー味のコロッケも好評でした。
こうして大会初の試みだった「食のアート」はコロッケを“食べる”という参加型パフォーマンスとして大成功でした。最後の後片付けも見事だった女子学生の皆さんに改めて感謝いたします

コロッケ屋台
懇親会でコロッケを披露される長岡氏 酒井氏とトロフィー

□懇親会      
10月22日(土)18:00〜/2Fレストラン サルーテ・スピカアリーナ

懇親会では「どこでもアート展」の授賞式が行われ、グランプリの酒井さんは名前を呼ばれると「予想もしていなかったので・・」と口に入れたばかりの食べ物をほおばったまま前に進み、伊藤会長制作によるトロフィーを受けました。このトロフィーは皆の垂涎の的で、まわりから「羨ましい」と声が上がりました。
途中から会場をアリーナに移動して、会員のクリストフ・シャルル氏、ゲストの小柳淳嗣氏、菊池玄摩氏による音と映像のパフォーマンスが行われました。札幌テレビ放送相談役から差し入れていただいたワインを飲みながら、「どこでもアート」の作品が並ぶ座席の間などに思い思いに腰を掛け、大空間、大型ビジョンに繰り広げられるライブを楽しみました。

□パフォーマンス            
10月22日(土)20:00〜/北パントリー前ラウンジ

本大会で「あの世の出来事」と言うユニットによるパフォーマンスが行われました。高橋幾朗さん(エレクトロニクス、パーカッション等)と室野井洋子さん(パフォーマンス)の二人によって、特に大きな紹介やオープニングも無く、気が付いた時、伊藤会長の作品もあるその空間は二人により、また次第に集まってくる人々の呼吸すらコントロールするかのごとく静かに、そして強く鑑賞者の心に触れたのでは…と感じました。
コンクリートの反響音や照明、舞踏等、伊坂会員が設計を手掛けた会場「スピカ」の構造や特性を見事に生かしきった、誰しも体験した事が無い言葉通り「あの世」の概念、イメージを私達の目前で具現化されたのでは、と思いました。ギリシャ神話の「アンドロギュノス」をご存知でしょうか?この二人にしか表現不可能な、お互いを求め合うかの如き神秘的空間演出、ミュージック・コンクレートと言う範疇では納まりきらない表現を目の当たりにして、誰しもが視線、心拍、呼吸をマニュピレートされたといっても過言では無いでしょう。光と闇の中で強い一言を突きつけられ更に魅せられた、素晴らしいパフォーマンスだった事を一鑑賞者として事後報告といたします。
追伸:私に刺さったメッセージは、また次回観た時に抜けるのでしょうか?更に深く入り込むのでしょうか…? /仲嶋 貴将

□口頭発表
10月23日(日)10:30〜12:00/スピカ・アリーナ

4件の口頭発表とも新規会員によるもので、大会の発表の場が本学会の活動の充実、発展に大きなウェイトを占めていることを感じる。
美術ジャーナリストで早稲田大学・文化遺産デジタルアーカイブ研究所の新川貴詩氏は『環境芸術を活用した美術教育に関する一報告』として、実際の展覧会での環境芸術作品の記録を学生に課した講義を報告された。つい作りっぱなしになりがちな作家にも「アートの記録」の重要性をあらためて認識させた。
北海道東海大学芸術工学部の林拓見氏、伊藤明彦氏と5名の学生による『積雪による冬季屋外造形物』は、厳しい自然環境をプラスに転換する発想。美しく、時にはユーモラスな表情を見せる雪の造形の映像を楽しんだ。
北海道出身で慶応義塾大学環境情報学部の田中浩也氏は子供時代に、今大会の特別講演の講師・青木由直氏との出会いがあったエピソードを披露され、会場におられた青木氏を驚かせた。『ネイチャー・センスウェア』という電子センサーを用いた研究プロジェクトの報告。「新しい自然」という概念が興味深い。
『 tEnt (テント)の活動を通して』は田中氏とトップモードアーティスト学院・久原真人氏のユニットによる発表。自然の微少なエネルギー変化を取り入れる装置を製作し、設置する場?風景を求めて「旅」をするというもの。
広い会場のため、多少やりにくさもあるかと思ったが、それぞれ充実した内容で、質疑応答も熱心に交わされた。