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活動報告

水族館は環境芸術だ
 
 アクアマリンふくしま館長 安部義孝
 
 小名浜港の埠頭に誕生したアクアマリンふくしまはこの7月で3周年を迎える。集客圏は東北・北関東から東京方面に拡大しつつある。目安箱をのぞくと料金が高いではないかというクレームもあるが、すばらしい水族館であると記してくれる人々も少なくない。水族館は環境維持装置つきの「自然」を展示する。装置の維持には光熱水費を筆頭に莫大なコストがかかるから、この社会資本を環境のテーマで最大限に活用することがアクアマリンに課せられた使命であると考えている。
アクアマリンの創出する展示は人の「内なる自然」に訴える小宇宙の水準を目指している。陽光が射し込む阿武隈や熱帯アジアのエリアは草木も生繁り完成度を高めている。黒潮水槽ではイワシ群をカツオやキハダが追っている。海藻ゆらめく親潮の海にはニシンとサケが遊ぶ。大洋の小宇宙がそこにある。熱帯雨林とマングローブの林を抜けると、サンゴ礁の白い海底にチンアナゴの庭園がある。世界の水族館人が高く評価する展示だ。北の海のアザラシ、トド、セイウチなどは観覧者と同じ目線で交流している。人々は魚より同類の哺乳動物によってより癒されるようだ。
いながらにして水族館の自然を鑑賞し楽しんでいただくことの本旨は、ドジョウやタニシのすめない水田が象徴しているように本物の環境が悪化し、特に身近な自然が病んでいることを対比させる手段でもある。環境省が昨年改定した「生物多様性保全国家戦略」では、身近な里地里山の自然や干潟湿地の保全、自然の再生・修復などを市民参加を得てすすめるとしている。
アクアマリンの環境学習活動もまさに身近な地域の海山川の保全への関心を喚起し、特に幼児期の自然体験を保証することによって環境に優しい次世代を育成することを目的とする。保全とは自然保護よりも大きなカテゴリーであり、持続可能な自然資源の利用の意味まで含まれる。「ふくしまの海」には累代飼育六代目のサンマ、アンコウ、カサゴ類、ベニズワイなど、小名浜の味覚が勢ぞろいしている。今夏から来年までロングランでとりくむのは「海を食べる〜エービーカーニバル〜」である。世界のエビ、カニが集合する。味わいながら持続可能の意味を考える企画である。館外では広大な県域を移動する水族館活動を拡充する。「塩の道」をたどり新鮮な戻りカツオの解剖で魚類学を学び、試食で喜んでいただく。
水族館の集客の源泉は不断の研究開発にある。アクアマリンがサンマのような普通種に取り組んだことは 内外の水族館を驚かせた。普通種の生態解明が沿岸資源の持続的利用に欠かせない。現在、いわき市の魚メヒカリの飼育研究にとりくんでいる。
水族館の環境コストと均衡させるためにはまだまだ活動を強化しなければならない。この秋にはアクアマリンを会場に環境芸術研究会を開催する。小名浜港を環境芸術一色に染めあげる計画である。開館3周年にあたりアクアマリンは環境水族館路線を歩むことを宣言する。内外の友好提携水族館にも呼びかけて、環境水族館のネットワークに発展させたいものだ。

日曜論壇2003・6・22日付
福島民報社掲載
 
アクアマリンふくしま
開館3周年記念 環境水族館宣言碑